ミュージアムセミナー「熊本中世の仏像」

 熊本の仏像を年代順に紹介していく。逆に言うと、まとめにくい類の講演会。
 中世仏教美術マッポーに始まる、と(西暦1052年が末法の世の始まり)。


 広福寺に伝わる8世紀の誕生仏。
 多良木町の長運寺にあった1130年造の木造釈迦如来像と豊後高田市長安寺の両方の銘文に出てくる快ケイという人物と、それによる僧の行動範囲。
 西巌殿寺に伝わる十一面観音、毘沙門天不動明王の三尊像。前者が平安後期のもので、後二者が鎌倉時代と、時代の違う像を三つ並べてある。
 那智熊野座神社の1184年の懸仏。この種の懸仏は、祭神の「本地」を彫った物で、つまり、仏像を通じて熊野神を拝んでいる。
 六嘉神社の神像。
 城泉寺の阿弥陀三尊の左脇侍。京都で活躍していた定慶との作風の共通性。


 後半は、大慈寺の寒巌義尹について。
 報恩寺に残る1260年5月銘の十一面観音立像は、二度の入宋の間の時期で、早い時期から熊本と関係を持っていたことを示す。


 あとは、仏像の耳の造型から、作者の共通性を考えるとか。耳の部分には、施主からの注文がつきにくいため、製作者が作りなれた形、すなわち個性が出るという考え方。