瀬尾つかさ『いつかのクリスマスの日、きみは時の果てに消えて』

 時間跳躍物にして、異質な存在と接触する系。なんか良くわからないものとのコンタクトというのは、瀬尾つかさが得意な話だな。
 しかし、これ、メデタシメデタシなのだろうか。なんか、最終的に落ち着かない気分が。いや、結局、最後の恵は、恋人だった恵と同一人物なのだろうか。記憶のよみがえりが、とって付けた感が強くてなあ。そこが、「せつない物語」ということなんだろうけど。
 玖瑠美と恵、どっちかの存在が消える。それを主人公が選ばされると言う展開にならなくて良かったとは言えるが。


 5年前に町の半分を焼き尽くす大火災に襲われた地方都市。主人公、梶谷悠太は、炎に巻き込まれようとしたところで、謎の生物と共生することで、生き延びた。その後、謎生物を優先して生活しているところに、クラスメイトの三嶋恵に声をかけられる。彼女も謎生物「ニムエ」持ちで。とりあえず、前半の恵の何も考えてなさがかわいい。そして、一気に恋に落ちる幸福感みたいなのも。
 しかし、それは、大火災を防いで、恵の親友玖瑠美を救おうと試みることで、消え去る。二体のニムエを接触させることで、過去に向かうことも出来るようになる。しかし、過去を改変したことで、今度は恵が死んでしまう歴史に変わってしまう。一体のニムエに、二人の宿主が存在する以上、どちらかしか存在できない。
 主人公は、災害を防ぎ、二人の少女が生き延びることができる選択肢を模索する。