水野良『グランクレスト戦記 1:虹の魔女シルーカ』

 水野作品は、10年以上ぶりか。アニメが意外におもしろかったので、手を出してみる。まあ、普通におもしろい。「聖印」と爵位のシステムがゲーム的だなと思ったら、TRPG化前提だったのか。シェアードワールドと言う割には、あまり広がらなかったようだけど。
 とりあえず、原作を読んでしまうと、アニメが説明不足にしか感じられなくなるので、当面、アニメの進展を追う形で、調達予定。アニメのほうは、進行具合からすると、3巻あたりまでを扱うのかな。


 全体的には、策士シルーカさんが、さらに上手の策士好色伯の掌の上でころころと転がされた感じか。


 混沌に満ちた世界。混沌を抑えるために、「聖印」を持った君主と混沌を操る魔法師の協力によって、人間の生活が維持されていた。しかし、混沌濃度が下がるにつれ、君主たちは互いに争うことを優先するようになった。そして、二大勢力、幻想詩連合と大工房同盟に統合。さらに、両勢力の君主の子息の結婚によって、統合がなされようとした寸前、両勢力の君主が、突如現れたデーモンロードに殺害される。結果、互いの緊張が高まり、大戦に発展しようとしていた。
 そんな時、魔法師シルーカは、意に染まぬ契約を強いられ、半ば自棄になって、流浪の君主、テオと契約。彼を、半ば操るように、急激な爵位の上昇と領土の拡大を実現する。しかし、急激な勢力の上昇は、周囲の勢力との軋轢を生み、セーヴィス王、そして、同盟の盟主クライシェ家との対決に拡大していく。ちょうど良く勝つのは、難しいもの、全滅を覚悟した時に、連合側の「好色伯」ことアルトゥーク伯が介入。クライシェ家当主の軍勢を奇襲。当主が失われることを恐れたクライシェ家は撤退。
 テオは、今まで獲得した爵位を捨て、アルトゥーク伯に従属することになる。


 しかし、領邦の君主と独立君主の争いは、室町時代あたりの守護と奉公衆あたりの対立と似たような感じだな。自分の支配下に従属させたいと直参でいたいという、双方のあり方が対立を呼ぶ。この世界の一国は、日本の県くらいの大きさなのかね。あるいは、もっと人口密度が低いのか。