- 作者: 曽根悟
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: 新書
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新線を建設するためにコスト高。さらに、そのコストを抑えるために、かなり傾斜やカーブがきつく、スピードアップに難がある。また、電車が途中で動けなくなった時の回復が難しい。在来線との接続やサービスの多様性に難あり、など。
一方で、人口の割りにネットワークの密度が低くて、高頻度運転を強いられるため、部品などに余裕を持った設計をしていて、信頼性が高いのが長所。これは、同じような条件の東アジア諸国にはアピールするかもしれない。在来線でも、ヨーロッパからの輸入列車で問題が起きたという話をよく聞くが、設計思想の差が大きいということなのかね。ギリギリまで余裕を削っている、と。
新幹線は、50年にわたって、大規模な事故を回避してきたが、それは、かなりの幸運に助けられてのことなのだなというのも感じた。初期には、車両の軸重が重くなりすぎて、線路が劣化。それに伴う遅延が頻発したとか。よく事故にならなかったなあとしか。
最近の、台車亀裂だの、脱線防止装置の脱落などもそうだが、重大事故はそれなりに起きているのだな。特に、車両基地から止まれずに本線に出てしまった1973年の鳥飼事故や始発の6分前に地震が起きて橋脚が倒壊した阪神大震災なんかは、間一髪だったわけだ。なんとか、ヒヤリに留めているとはいえそうだけど、いつか、大事故は起こるのだろうな、と。
あとは、初期の重量過大によるスッタモンダとか、自由席を作って、重くなりすぎたため、線路を回収する破目になった話とか。必ずしも順調ではなかったのだな。あと、車両の技術の点では、私鉄の方が進んでいたらしいこととか。
リニア新幹線、進んでいるような、いないような、外野からはよくわからない進み方をしているけど、本当のところ、どうなるんだろうな。スピードの優位も、鉄輪式鉄道のスピードアップで、圧倒的というほどではなくなっている。また、計画している車両が輸送力過小、輸送力の調整が難しい、電力の安定供給に不安があるなどなど、不安点が挙げられているが。