鐘江宏之『地下から出土した文字』

地下から出土した文字 (日本史リブレット)

地下から出土した文字 (日本史リブレット)

 木簡を中心とした、出土文字史料について解説したリブレット。100ページほどで、出土文字史料がどのようなものか、何を明らかにできるか、分析の視点、列島の南北や海外との比較といった話題が紹介される。
 木簡、漆紙文書、墨書土器あたりが、数が多くて、研究のメインになるのかね。
 編纂された史料の内容のチェックに使える。また、中央政府の視点では取り上げられない庶民や地方の姿が明らかになる。役人の日常世界など。
 第3章は、形態からの分析。木簡は廃棄するときに、割ったり、折ったりされて廃棄されている。また、多くの史料を比較検討することで、読めなかった文字の解読が可能になったり、地域的な字体の特徴などを明らかにできる。物として分析することも重要。
 ラストは、東北や南九州・琉球列島で、どのように日本国が進出して行ったか。あるいは、漢字文化圏での比較の視点。日本の木簡文化は、朝鮮半島からの濃厚な影響を受けているのか。形態や干支年使用などで、共通する。墓誌などで、中央アジアと繋げて考えることもできる、と。