湯浅常山『戦国武将逸話集:訳注『常山紀談』巻一〜七』

戦国武将逸話集―訳注『常山紀談』巻一‐七

戦国武将逸話集―訳注『常山紀談』巻一‐七

 副題の通り、江戸時代の半ば、18世紀の中頃にまとめられた戦国武将のエピソード集『常山紀談』を現代語訳した本。最近、ネットの戦国武将エピソードサイトなんかで、関心が高まっていたので、図書館の書棚で見かけて、即借り出し。しかし、歴史や軍事関係の本で、やけに汚れている本があるんだよなあ、県立図書館。たちの悪い利用者がいるのものだ。
 一番槍の功名とか、戦場での手柄の譲り合い、戦闘状況の予測能力みたいなのが多いのが、時代の問題意識や関心を示しているのかね。こういうのを見ると、戦国時代の戦闘は、混沌としているというか、個人技の世界だなと感じる。実際のところ、どうだったんだろう。


 上杉謙信武田信玄黒田如水宇喜多直家毛利元就徳川家康前田利家あたりのエピソードが、ある程度まとまっているけど、途中に、いろいろと関係のないエピソードが挟まれていたりして、どういう基準で配列されているのだろうか。気になる。


 ちょっと面白かったのが、甲陽軍鑑に対する見方。4項目で触れられている。特に、功績にかんしては、かなり盛られているなど、あちこちで間違いが多いと指摘されている。しかし、最終的に、戦国の戦のありさまや武士の情に通じた人物が書いているので、学ぶべきことは多い書であると結論している。