湯浅常山『続々 戦国武将逸話集:訳注「常山紀談」巻十六〜二十五』

続々戦国武将逸話集―訳注『常山紀談』巻十六~二十五

続々戦国武将逸話集―訳注『常山紀談』巻十六~二十五

 『常山紀談』の現代語訳も、三冊目。本文はここまでで、「拾遺」お附録を収録した別冊が、先日発売された模様。


 巻頭の解説は、常山の生涯。夢想的な理想主義者、しかも、カチコチの儒教マニアかあ。あまり、近くに居てほしくないタイプかも。私は、根性なしのロマンチスト故。諫言を行って失脚した。その「理想」が巻十八あたりにまとまっている諫言をめぐる逸話に込められているわけか。


 本書に収録されているのは、関ヶ原の合戦の後始末、天草島原の乱大坂の陣などがメイン。天草・島原の乱大坂の陣が前後している。前者の扱いが比較的小さい。これは、百姓と戦った天草・島原の乱を小さく評価する常山の認識の現れなのかね。
 あと、途中には家康の細々としたエピソードが入っていたり、末尾は仇討ちのエピソードなど。泰平の時代に武を誇示する場は、仇討ちしかなかったということか。仇討ちって、修羅の道だなあというのが正直な印象。下手人を探し出すところで、ハードルが高い。


 天草・島原の乱とか、大坂の陣で、抜け駆けとかの必死さがすごいな。どちらも、ほぼ最後の大戦ということで、抜け駆けが印象的。