笹本祐一『彗星狩り(上):星のパイロット2』

 新装版『星のパイロット』シリーズの二冊目。スペースプランニングの面々は、地球軌道へ軌道修正中の彗星の所有権をかけて、前代未聞の長距離宇宙飛行に挑む。『彗星狩り』は、本当に、このシリーズの白眉だよなあ。


 上巻は、デビスモンサンやカルテックのストックヤードで部品探したり、軌道上で宇宙船を組み立てたりするだけなのだが、それがおもしろい。
 大手が挑むようなレースに零細のスペース・プランニングが無謀な挑戦。予算が限られるから、あちこちからジャンクを集めてきて宇宙船をでっち上げる。拠点は、軌道上にある物をレンタルして準備し、人員は、彗星レースで浮いた研修中の学生を引っ張ってきたり。
 さらに、一番のベテラン宇宙飛行士が、積年の宇宙線曝露による障害で離脱。
 ナイナイづくしの我らがスペース・プランニングは、飛び立つことができるのか、といったところ。
 この雰囲気が良いねえとしか言いようがない。