笹本祐一『彗星狩り(下):星のパイロット2』

彗星狩り(下) 星のパイロット2 (朝日ノベルズ)

彗星狩り(下) 星のパイロット2 (朝日ノベルズ)

 いよいよ、彗星レースに、スペース・プランニングの宇宙船コンパクト・プシキャットも出発。しかし、試作品のプラズマ・ロケットは、なかなか順調に噴射しないし、地球から妨害のクラッキングは仕掛けられるし、トラブル続出。
 さらには、クラッキングによる妨害で、二番手を進んでいたローリング・プレンティが、エンジン爆発に生命維持装置停止。これに加えて、彗星の残りかすの宇宙塵に突っ込み、次々と被害を出す出場船。
 レースが混迷を極める中、コンパクト・プシキャットは、ローリング・プレンティの救援に乗り出す。
 後半は、次々とトラブルに見舞われる波乱万丈の展開。他方で、順調に飛んでいる限りは、航行の大半は、狭い空間に閉じ込められて、暇潰しに苦労する。その中で、地上や他の出走宇宙船の乗組員との交信が、唯一の楽しみになる。
 地球とは距離が離れるにつれて、光の速さによる、交信のタイムラグが長くなっていく。逆に、出走宇宙船は、距離が詰まるにつれて、タイムラグが短くなっていく。そこを細かく描いているのが、興味深い。


 そういえば、この作品の宇宙船の名前、なんか元ネタがあることを匂わされていたが、検索をかけてようやく分かった。普段は、検索かけるのを忘れてしまうのだよな。「チキチキマシン猛レース」の出走メカの名前から取ってるのか。見たことないので、分からなかった。つーか、90年代にブームだったんか…