古橋秀之『ブラックロッド』

ブラックロッド (電撃文庫)

ブラックロッド (電撃文庫)

 「スレイヤーズ」に引き続いて、古いのを引っ張り出してくる。電撃文庫を買うようになった端緒の一つ。
 オカルトパンクな世界観で、次々と人が死にまくる話。魔術を使って構築された積層都市ケイオスヘキサ。それを破壊しようと企む謎の怪人ゼン・ランドーとそれを追う公安局の魔術師ブラックロッド、そして、それに巻き込まれる吸血鬼ロングファングの三つどもえの争い。バカスカ登場人物が死んでいく。疾走感。
 裏で手を引いて、ランドーを捕えると同時に、大量の死人が出る実験を裏で支援していた降魔局のひどさが印象に残るな。このあとも、人を人とも思わない所業を繰り返してくれる。
 ブラックロッド氏のセキュリティホール突かれっぷりが。


 やはり、主人公たるビリー・龍、あるいはロングファングが、物語を彩っているな。立場としては傍観者なわけだが。にもかかわらず、存在感が。寂しがり屋の吸血鬼。愛するものを手にかけ、食べてしまう矛盾か。