雨木シュウスケ『クラウン・オブ・リザードマン3:無冠の覇者は戦場を望む』

 ラストバトル。
 とりあえず、戦闘バカばっかりだなとか、結局ユイオンとタラリアの戦いはどういう風に話をつけたのだろうかとか。割と、投げっぱなしジャーマンな結末だなあ。とりあえず、アスライン/レウスはアカウントを取り戻し、ゲームに復帰。今度は、文字通りリザードマンの王者になるべく動き出す。


 ユイオンの潜伏と彼女が自我を与えたNPCの跳梁という異常を、ついにC.R.O.W.N.の運営側も感知する。異常を解消するために、運営は大規模なメンテナンス「再生計画」を企画する。この、大規模メンテナンスに紛れて、脱走した人工知能であるユイオンと、その追手であるタラリアの決戦が行われることになる。
 ユイオンから、勝ち目のない戦いと離脱を進められたレウス。しかし、結局、戦いから逃げないという選択を。この人、破滅型だよなあ。不利な戦いほど、喜んで身を投じる。


 だいたい、2/3くらいがバトル展開。
 最初は、アロンフォリス騎士団のモンスター掃討バトルから、レウスとアルテナの戦い。アスライン/レウスの背中を負いつつも、最終的に信じきれなかったアルテナは、彼と並び立つために挑戦する。
 戦闘バカが二人に増えて、互いに戦い続ける話だなあ。
 そこから、タラリアの介入。ユイオンの相打ち作戦へとなだれ込む。結局、ユイオンの策は何だったのだろう。互いに相打ちになったように見せかけて、それぞれ、一部を切り離して自由になったという展開なのだろうか。あるいは、ユイオンとタラリアが融合して、ごく一部を残したということか。エピローグの、新たにリザードマンの王を目指す彼に引っ付いてきたユイオン?は何者なんだろうか。


 ひたすら、アスラインに追いつき、追い越したいと願うアルテナ。人工知能としてゲーム内の潜伏、アスラインに興味をもったユイオン。このシリーズ、長く続けば、三角関係が成立したと思うが、そこまでいかないうちに終わったなあ。
 新たにリザードマンの「レウス」となった彼についてくるスライムというラストシーンから考えると、ユイオンさん大勝利の結末なのかなあ。