鈴玉レンリ『Milky Memory』

Milky Memory (メガストアコミックス)

Milky Memory (メガストアコミックス)

 少女漫画的な関係性をどう定義するかみたいな話が前面に出た作品。この作者、女性向けも書いているのだな。男性向きだと、普通、性行為と愛情がもっと直結しているパターンがおおい。エロシーンが全部、二人とも全裸というのは、珍しい気がする。着衣エロとかも混ぜるのが普通のような。
 親元から離れた生活を始めたお嬢様と彼女に付けられた執事の幼馴染二人が、立場の違いを超えて結ばれる「ディア・マイ・バトラー」と、その友人連中がでてくる6本に、独立した短編6編から構成。


 やはり、執事とお嬢様の恋愛もの「ディア・マイ・バトラー」が印象的。庶民派お嬢様が、立場の違いを乗り越えようと奮闘する。
 ラストのやり取り、「こっちも大本命の恋人とヨロシクやってるから心配ご無用ってね」「…これはうまくいっていると言えるのか…?」「言えるの!! そういうことにしとくの!!」がこのカップルの関係を表しているようで微笑ましい。


 あとは、最後の「幼なじみの行く末」とその後日譚の書下ろし「行く末のその先」が良い。幼いころからいつも一緒にいて、周囲からカップルと認識されているような二人が、肉体関係を持った恋人に「関係」を変えていく。モノローグが良い。
 あとは、裸を見られることを恥ずかしがるヒロインがかわいい「まるみえっち」や野外での行為が燃えるヒロインがあちこちでやったことを回想する「よくばりサマーダイアリー」あたりが好きかな。


 本書に収録されている作品は、「Webばんがいち」に掲載されたもので占められているけど、ウェブ版も休刊になってしまったんだよな。どこか、別の雑誌で発表するのだろうか。つーか、良く買っていた雑誌だけに、なんか残念だなあ。

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