三雲岳斗『アヤカシ・ヴァリエイション』

アヤカシ・ヴァリエイション (LINE文庫)

アヤカシ・ヴァリエイション (LINE文庫)

 新創刊レーベル、Line文庫のスタートラインナップから一冊。察知すれば、だいたい買っている作者の本。
 付喪神と人間の友情と言ったところか。晴くん周りは、いろいろと謎を残してあるから、続きは普通に出来そうだな。


 人間に危害を加えたりするいわく付きの古道具「特殊骨董」の破壊ないし封印を担う、特殊骨董処理業者という設定がおもしろいな。こういう、付喪神系というか、いわく付き古道具という設定はわりかし見かけるが、本作品は、バトル系の要素強し。


 主人公、真継晴は、孤児で、度々大事故に遭いつつ、それを無傷で切り抜けてしまうため、周囲に疎まれている大学生。頻繁に事故に遭うのは、実は、晴が座倉家なる富豪の一族の子供だった。遺産を巡って、命を狙われていた。
 そこに、特殊骨董処理業者の杠屋の連中が護衛を買って出る。それは、座倉家が秘蔵する「匣」を入手するための交換条件であった。
 そして、話は急展開。意識不明の重体だった座倉家の当主が、相続権がある人間を呼び出し、「匣」の回収を要求する。そこからのバトル展開は、まあ、三雲作品ならいつものという感じだなあ。


 使主と、特に晴の力「怪王」というのが、あまり描写されていないような。付喪神たちの力を十全に振るえるようにするのが、使主の力。で、晴の力は、その中でも抜きんでたもののようだが。つーか、妖と人間のハーフか…
 あとは、日本刀なのに、人を斬りたくない、めんどくさい人とか。