ざっぽん『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 5』

 相変わらず、タイトルが長いw


 この巻は、Webで現在展開されているミストーム師の過去を巡る一連のストーリーの前に挟まるストーリーのようだな。ほぼ一冊、書き下ろしか。なかなかぜいたくな。
 婚約指輪につける宝石をブルーサファイアにしたいレットは、世界の果ての壁山脈のジェムジャイアントから入手しようと算段する。一方、勇者のパーティにいたハイエルフのヤンドララは、レットたちをエルフの王国の首都で保護しようと追っかけてきていて。
 Web版では、パーティを抜けたっきり、行方不明だったヤンドララのキャラがしっかりと描かれる。ヤンドララも、レットが好きなわけね。いろいろな女性に好かれているなあ。義理堅さ、思い込んだらまっしぐら、お茶目だったり鋭かったり。ドワーフと仲良くケンカしたりw


 ズークの村を経て、ジェムジャイアントの集落に着いてみると、彼らは消耗しきっていた。事情を聞くと、宝石を食うモンスターに鉱脈が占拠されて、飢えている。どんなモンスターもかなわなかったという。
 宝石を喰らい、鉛に変えてしまうジェムビーストを放っておくと、ゾルタンの水脈も汚染されかねない。レットたち一同も、それを倒すために挑む。無限回復のモンスターはきついなあ。しかも、魔力吸収。多数の加護を身に宿し、それが機能しなくなったとたん、自力でも立つことがかなわなくなるいびつな生命。レットの加護を押さえる薬で回復できなくなったところで、ルーティの一撃で倒す。古代エルフは、何のつもりでこんな生き物を産みだしたのやら。世界の謎が興味深いところ。


 ズークやジャイアントといった、人間たちとは異なる論理を持った「モンスター」たちと交流し、「世界の果ての壁」とまで言われる山脈を登山観光する、紀行的なお話が楽しい。


 そして、冬至のお祭りと、新たな冒険の予兆。いよいよ、ミストーム師編か。