伊藤いづも『まちカドまぞく 5』

まちカドまぞく (5) (まんがタイムKRコミックス)

まちカドまぞく (5) (まんがタイムKRコミックス)

 ピンク色で、本棚に入れとくと退色しそうなデザインの第五巻。
 いよいよ、シャミ子が力を発揮してきて、逆に自分の力に恐れを抱くことに。あとは、すったもんだのあげく、永続的に現世に出現できるようになったご先祖とか。事件満載だな。


 中盤以降、事件の連続だなあ。ご先祖、等身大依り代(寿命7日)を得て、外の世界を徹底的に遊び倒そうと目論むが、詰め込みスケジュールで疲れ切ってしまう。で、バーンアウトしたご先祖を、山のキャンプに連れ出すシャミ子。しかし、そこで、山に封印されている蛟に魂を抜かれてしまう。シャミ子の代わりに永遠に封印空間にいようと申し出るご先祖だが、すげなく拒否され、ゴミ掃除を続ける「約定の龍玉」を埋め込まれてしまう。すぐに依り代が崩れて、約束を有耶無耶にするはずが、戦闘力はそのままに、普通に生き延びてしまったご先祖の未来はどっちだ。
 つーか、ゴミ拾いのお姉さんと、町の人に認知されそうだなあ。


 で、ご先祖がご先像の中に居なくなったことで、シャミ子は危機管理フォームに自力で変身することを求められ。新コスチュームの研究を行うことに。布の面積が大きいと、重くなるのか。どうあっても、半裸で戦うしかないようだなw
 そして、ここで出現した「心の壁フォーム」が、意外と防御用フォームとして多用されることに。


 そして、巻末に向けての盛り上がり。
 喫茶あすらが、店舗の破壊などの累積で追い出されることに。窮状を見かねたシャミ子はばんだ荘に入居することを進める。新生あすらの出現でてんやわんやの一同。そのゴタゴタに紛れて、喫茶あすらを守る結界を忘れてきてしまう。気づくまでの数日で、リコに恨みを持つ魔法少女朱紅玉に察知され、襲撃を受ける。
 というか、桃とミカンの二人組にあっさりやられる中、駆け込んできたマスターを誤って封印。リコが闇堕ちしかける。そこにシャミ子が介入。全員を眠らせた上で、紅玉とリコの問題を解決し、手打ちとマスターの封印解除に成功する。ほんとうに、最初の頃と比べると立派になったものだ。一方で、自分の力で、都合良く歪めてしまったのではないかと悩むことになる。ここで、桃とのやり取りが効果的だなあ。


 リコくん、オーバーキルが笑った。リコはマスターを男女として好きだったけど、マスターは手間のかかるペットとしか見ていなかった。背中に牛刀を隠し持ってる娘は対象外というのは、よく分かる話だw
 殺すか、殺されるかといった人生(?)を歩んできたリコ。衣食住が満ち足りて、「愛」を欲しくなったときに、社会性をどう身につけるかという問題か。


 ラスト、桃さん、なかなかデレたな。シャミ子の異変に気づいて、連れだし、励ます。「いずれ私は絶対にシャミ子のことを好きになってた!」のセリフが、もう、本当にね。

 本当に言って欲しいこと、欲しい言葉を与えるのが「洗脳」。確かに、どういう言葉を差し出すかによって、悪影響もありそうだなあ…


 出だしの三編もおもしろい。
 スマホを買って、おそろいにしたり、グループに入りたいシャミ子に対し、自然体でフラグを折っていく桃。コスチュームもそうだけど、基本、鈍感主人公だよなあ桃w
 あとは、シャミ子の誕生会のプレゼントで悩む桃とか。財布を買って喜ばれるも、提案を蹴ったリコの案のほうがテンション高いという屈辱。さらに、シャミ子は、財布をもったいなくて使えない。あるあるだけど、ダンベルにすれば良かったと叫ぶ桃がかわいいw


 そう言えば、小倉さんもいろいろと思わせぶりなこと言ってるなあ。多魔市の「秘密」とは。そして、皆がキャンプに行って不在の間に、調べた「あそこ」とは。紅玉が突撃してきたときの「結界がなくなったら私も困る」というセリフも気になるところ。


 とりあえず、桃さん、ずいぶん餌付けされたなあ。最初の方でシャミ子を餌付けとか言っていたのが、完全に攻守逆転。