「68の車輪」 東京シネマ1965年製作 - YouTube


「68の車輪」 東京シネマ1965年製作
 車輪が多いのは正義。


 1965年の映像。280トンの変圧器を柏駅から新野田変電所まで、5日かけて陸送する姿を描く感動巨編。しかしまあ、1965年には、大半の道が未舗装。しかも、せいぜい一車線くらいの道というのが恐ろしいな。軟弱な道路では、杭を打って、角材渡して、その上から鉄板をしく、けっこう大がかりな工事が行われている。それでも、以前は田圃や家屋を撤去して、道を作る必要があったと言うから、これでも、前よりは楽になっているというのが。
 列車やトラックが、レトロでいいなあ。この時代は、ボンネットトラックがメインか。トラクターは米軍払い下げのタンクトランスポーターっぽいなあと思ったが、ふそうのエンブレムが入ってる。クレーン車も油圧じゃないっぽいし。あと、計算尺使ってる人が居るのも。


 一方で、鉄路・道路双方で出てくるシュナーベル式トレーラーは、今とあんまり変わらない印象。この時期に確立された技術が、現在まで引き継がれているのかな。鉄道の大物車から道路を移動するトレーラーへの水平輸送は、油圧ジャッキで受けて、鉄道貨車から切り離し。そっから、コロで横滑りさせてトレーラーのところまで動かし、結合。
 現在の動画を見ても、装具が専用資材になっているのを除けば、やってることは同じなんだよね。鉄材の台を作って、そこを鋼管のコロで動かす。クレーン車も、変圧器本体を釣るのではなく、トレーラーの部材を釣る。
 ここいらの作業は、現在の動画でも、基本は一緒みたい。クレーンのパワーは上がってるかな?

[FHD]変圧器積み替え@美浜駅ダイジェスト(20120808) Big Transformer re-load@Mihama

大垣駅 シキ800 変圧器取卸し 2017/04/24撮影 10倍速


 道路の強度を見るために、スウェーデン式サンディングだの、コアサンプラーで土を取ったり。あるいは、夜中、列車の20分の間隔を突いて、踏切を渡る。角材だの、鉄板だのを敷いて、撤去する。20分で出来ることとは思えないお仕事。すげー
 さらに、狭い交差点を直角に曲がること複数。
 雨の日は、道路状態が悪化するからお休み。で、翌日が強行軍に。道幅一杯をゆっくり通っていく一行。未舗装の田舎道をトレーラーやダンプが踏み固めるかあ。けっこう、交通量が多いのもおもしろい。バスが通り過ぎるのを待ってたり。
 夜の打ち合わせシーン、みんなタバコふかしてるのが、時代だなあ。
 そして、一番最後、変電所手前の道が、杭を打ち込みまくっての補強しまくりで、すごい。土木工事だ。どれだけのマンパワーが必要か。900メートルを一日かけて。後ろに通学の自転車が大渋滞。


 背景に映る建物も良いなあ。伝統的な農家建築や街道沿いの商店。鉄道輸送のシーンでは、火の見櫓が写ってるな。見物人がエキストラ風だけど。地理院地図を見比べると、利根川運河の北側は、意外と往時姿をとどめているっぽい。建物はかなり建て替わってるだろうけど。
 利根川運河、この時期は、断ち切って道路が作ってあるのだな。
 現在、新野田変電所への変圧器の移送はどうやっているのだろうか。柏駅で降ろすなら、今は国道16号線をまっすぐ行けば良くなって、だいぶ楽そうだけれど。


 つーか、あのはさみこんで変圧器を移送する貨車やトレーラー、シュナーベル式って言うんだ。はじめて知った。あの、挟み込む部分を、ドイツ語でくちばしというのか。そのものやな。
 あと、接合部の頑丈さ。あそこのピンで工場内のクレーン移送や貨車・トレーラーの引っ張りの力に耐えるわけだよな。


 現在の変圧器輸送。橋の補強なんかは替わらないのな。専用機材が準備されているようだが。橋の上に橋を架ける感じか。相変わらず、カーブが難所。

日通大型トレーラーによる巨大変圧器の輸送

4K はたらくくるま 日通式240型トレーラ 巨大変圧器輸送


 60トンクラスだと、低床貨車やトレーラーで運べるんだ。で、トレーラーも一台。それでも、たくさんの人間が必要そうだけど。つーか、なんで変電所の入り口が一番の難所なんだ…
 卸すところを写さないのか。

電力の匠~巨大変圧器 延べ27時間総距離200kmの大輸送~


関連:
www.kagakueizo.org
 踏切の場面、ライトが届いていなくて右往左往したとか、メインカメラマンが事故って突然メインにされたとか。


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