- 作者:川島 宙次
- 発売日: 2016/09/23
- メディア: 大型本
しかし、「縄文」と「弥生」の対比みたいな怪しげな話がちょっと困る…
全体は6章構成。
第一章は屋根。茅葺きの民家では、構造的な弱点となる棟やその端部に着けられた水や風切りの部材が、装飾として派手に積み上がっていく。瓦葺きも、同じく頂部が雨漏りの危険があるため、かなり工夫して覆われていて、それが装飾も兼ねるようになっていく。鬼瓦も、鬼面の瓦って、意外に少ないのな。
第二章は、外観。どっちかというと町家の細部デザインが採録されている感じ。卯建、格子、妻飾り、換気口の類い、なまこ壁に戸袋、手摺りに雨樋。あとは、室内と室外の境界的な建具類、障子や板戸も紹介される。
しかし、こうしてみると、伝統的な民家って、あちこちがスッカスカに開いているのだ。虫もガンガン入ってくるだろうし、室内に蚊帳を釣る必要があったわけだ。
第三章は、室内の設備。室内を仕切る欄間、囲炉裏や竈周り、衝立、家具、釘隠しに照明器具。
第四章は土蔵。土蔵を構える家は、それなりに金のある家が多かったためか、窓や扉周り、内扉、その他諸々、ガッツリと装飾されているところが多い感じだな。そんなに装飾しなくても、外観に気を配っているというか。
第五章は、商家の特徴である看板などの宣伝具類を紹介。屋根を貫いて、それだけに建築構造に密接な関係がある屋形看板、二階の壁に着けられたり、軒に吊される看板、突き出した看板、軒灯などなど。人を引きつけるためのさまざまな工夫が見られる。
最後の第六章は、ドイツと日本の民家の比較。日本の民家が孤立した様式というわけではなく、全体構成で似たようなデザインになっているという。