『世界の艦船』2020/6号

世界の艦船 2020年 06 月号 [雑誌]

世界の艦船 2020年 06 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/04/25
  • メディア: 雑誌
 今号の特集は未成戦艦。個人的には、あんまり未成艦船には興味が無いんだけど、まとめて特集されると、それなりに興味深い。ド級、超ド級の戦艦は、その40年くらいの歴史の中で、3度大量絶滅を経験しているわけか。資金も資材も大量に必要で、運用にもコストがかかる戦艦は、一気に修理と各種艦艇が必要とされる戦争の局面では、後回しにされちゃう。第二次世界大戦だと、空母というもう一つの主力艦種にリソースを奪われるし。
 あとは、第一次世界大戦後からワシントン条約までの、戦艦の恐竜的進化。日本海軍は5万トン、46センチ砲搭載艦をも構想してたという。ポスト・ジュットランド型の戦艦に必要な攻防走能力を兼ね備えるとなると、5万トンくらいになってしまう。海軍軍縮条約下で建造されたのはネルソン級だけだけど、速力を諦めて妥協しても、あちこち不満が出たから、相当無理していたのだろうなあ。
 長門も、改装後には4万3000トンまで排水量が増えているし。


 改大和型/超大和型のページで、著者の堤明夫氏が、大和型は装甲を船体構造に組み込んだため、剛構造の装甲部と柔構造の非装甲部の接続部に大きな力がかかってしまうという構造上の欠点を持ったと指摘されているが、これ、どの程度妥当なのだろうか。
 基本、戦艦大和という存在にあんまり興味が無いので、こういう指摘を読んだことなかったのだが。


 あとは、東大に寄託(?)されている平賀文書から八八艦隊関係の図面の写真を。また、未成戦艦を転用した空母に関する写真頁が収録されている。
 巡洋戦艦を転用した日米の大型空母は、緒戦から大活躍しているけど、戦艦改装の空母はいまいちぱっとしない印象があるな。スピード重視の日本戦艦改装の加賀はかろうじて主力空母として利用できたけど、イギリスのイーグル、フランスのベアルンは、艦隊型空母として重用されたという感じではないなあ。特に、21ノットの後者は、フランス降伏後は、アメリカで航空機輸送艦に改装されてしまっている。護衛空母として使うには、大きすぎたんだろうなあ…
 つーか、ベアルン、係留訓練艦として、けっこう長生きしているのだな。地味に、同世代の空母では一番最後に解体。


 モノクロ写真ページでは、防護巡洋艦高千穂とドイツの非防護巡洋艦ブッサルトが収録。こういう時代の巡洋艦、なんかすごく好き。カラー写真ページでは、新造ジェットフォイル、セブンアイランド結の命名・着水式が。ジェットフォイルの需要がまとまって出ないと作らないという話だったけど、他でも発注があったのかな。


 多田智彦「現代の艦載兵器:第6回:対艦ミサイル」
 西側の標準ミサイルだったハープーンも、そろそろ終わりの時期と言ったところか。その後継ミサイルがあちこちで開発採用されている状況。亜音速で軽量のミサイルと超音速ミサイルで選択が分れる感じなのかね。
 一方、ロシアは超音速対艦ミサイルを重用し続ける。中国はエグゾゼ系なのか。


 川崎豊彦「新型コロナウイルス狂騒曲:海事産業への影響」
 これ、3月末の状況なんだよな。事態が長期化している現状、どうなんだろう。なんか、フィリピン近海に集まっているとか、交代要員が来なくて困ってるとか、いろいろな情報が出ているけど。
 中国からの各種部品の供給はどうなっているのだろうか。
 クルーズ事業は麻痺状態だけど、各運営企業は現状、どうなってるんだろう。