熊本県立美術館細川コレクション展「新発見! 大名・細川家の日々のお道具」

 調度品を取り上げて、永青文庫所蔵の品々の調査から分かったことをいろいろと紹介する展示。幕末から明治にかけての品々がメイン。以前から、細川コレクション展示室で展示される調度類は、細川斉護室の益姫所用の品々が多かったが、そもそも、それ以前の嫁入り道具類って残ってないのだな。益姫は幕末の大名妻子の「帰国」政策で熊本に移転してきているから、彼女の嫁入り道具は熊本の細川家資産として現在に伝えられた。しかし、それ以前の品々は、江戸で処分されたり、形見分けみたいな形で手を離れたり、家紋を消して細川家の姫の嫁入り道具にリサイクルされたりしたわけだ。展示品にも、家紋を摺り消して、転用の準備をしていたと思しき展示番号19番の「牡丹唐草蒔絵文箱」みたいなのがある。現存する大名の調度品類の家紋のリサイクル痕を綿密に調べたら、どう流れたか系譜が作れるんじゃなかろうか。X線で撮影とかしたら、以前の家紋がばっちり浮かび出てきたりしそう。


 第一部は、「細川家の『調度』」ということで、益姫の嫁入り道具が展示される。さすが、国持大名の娘ともなると、すべてが気合い入ってるなあ。化粧品、文房具、屋外用食器、家具など。8番の「違鷹羽紋菊唐草蒔絵挟箱」は、実際に、金具に棒を差し込んで運んだらしく、そこの部分に擦り傷が。ぴかぴかでほとんど使われてない感じだけど、全く使ってないというほどではないのかな。


 第二部は、永青文庫所蔵品の調査で見つかった興味深いものの紹介。
 将軍から拝領したかわらけを金箔で覆った「金箔押土器」が興味深い。あとは、明治20年代あたりに皇室から下賜された茶器など。こういうののために、皇室はいろいろと買い上げていたわけね。
 あとは、誰が使ったか分かった品物、婚礼道具のリサイクル準備と思しき家紋を摺り消した文箱など。


 第三部は、美術館で目録撮り作業がどういう風に進められるかを紹介しつつ、道具を紹介。使用者が分かるように、それぞれ違うマークが付けられた食器類が興味深い。