くまもと文学・歴史館企画展「絵図が語るくまもと:熊本県立図書館 絵図コレクションから」

 二日経って、やっと見学感想を。なんか、いろいろと遅れまくっているなあ。


 企画展用の第一展示室だけではなく、常設展示の第二展示室まで使っての、かなり大がかりな展示。やはり圧巻は菊池川全図。高瀬あたりを中心の部分が展示されている。あとは、熊本城下町の絵図が多い。横手手永略地図と測量記録が並べて展示してあるのも興味深し。


 第一章は、「絵図を作る」。地図周辺の史料が紹介される。
 「御土居絵図添書」では、作成にかかった時間や、城の外周を管理するための資料として丹精を込めたとか。あるいは、時習館における測量教育が、天文学の枠内で行われた。あるいは、池辺長十郎による飽田郡などの測量活動とそれに関わった人など。藩から技術者が出て、それを地域の人々がサポートした。逆に言えば、地域にそういう技術が蓄積されていたということか。


 第二章は熊本城下町と五ヶ町のうち高橋町と高瀬町の絵図が紹介される。現実の姿はともかくとして、イメージとしては、かなり端正な姿が構想されているわけね。そして、熊本城下町の外周は、坪井側にしろ、新町側にしろ、土塁などで防備が行われていた。新町西側の土塁と堀の後が、現在の鉄道の線路の敷地に転用されたということなのかな。いろいろと新幹線の建設工事で発掘されたようだが。
 よく考えると、この新幹線の工事で発掘されたものと絵図を使って、「熊本の御土居」みたいな展示ができそうだなあ。


 第三章は、「絵図に描かれた防災遺産」。
 熊本城下町の防火対策関係と、菊池川の治水のために作成された「菊池川全図」が展示。後者は、なかなか圧巻の史料。文字も読み取れたら、堤外地の耕作地だの、堰からの用水なんかの情報も読み取れるのだが。
 熊本城下町も、何度もの大火に襲われ、その対策のために防火帯も兼ねた広幅員道路、広丁が設置された。この道路は、今の三号線や藤崎宮参道などで今に残る。あとは、水道町に名を残す、竜田のほうから引水した水道の絵図とか。


 第四章は、近代に入ってから。
 明治10年西南戦争で、政府軍の放火により、ほぼ全域が焼き払われた。その後、都市復興をかねて、道路改良が試みられ、政府に費用を出してくれるよう要請する文書が展示されている。あとは、明治から昭和戦前期の出版地図が4点ほど。これらを出版した企業も興味あるなあ。


 もう一度、今度は現在の地図と見比べながら、じっくりと展示を見たいところ。