「熊本県伝統工芸館収蔵品展:熊本の金工展:肥後象がんと手打ち刃物」

 やっと、全部クリア。
 展覧会の名前の通り、熊本の鍛冶仕事と肥後象嵌をフィーチャーした企画展。思ったより、鍛冶関係の製品の展示が多くて、思わず写真を撮りまくってしまった。地域によるバラエティとか、機能による形態差が大きくて、おもしろい。民具学なんかの知識とか、実際に漁や農業の経験があったら、もっと面白く見られるのではなかろうか。

漁具

 人吉方面の「イザイ」や天草方面の「牛深鉾」と呼ばれる銛が多数展示。牛深鉾がかなり頑丈そうな穂先なのに対し、川用のイザイは細い。また、イザイは三又、四又、六又、十又、ウナギ突き、綱突き、鯉突きといろいろな用途別に分れているのが興味深い。
 イザイは、イザリとも呼ぶらしい。
kan-kaji.sakura.ne.jp






 うなぎかき。ウナギを引っかけて取る漁法が各地にあったらしい。それぞれ、地域で姿が違いがあるようだ。これは、水深が浅いところで使われるのかな。
http://himorogiwiki.net/wiki/%E9%B0%BB%E6%8E%BB
www.town.aichi-higashiura.lg.jp




 貝掘りの道具も複数出展。めんじゃ引き、ハマグリかき、がんづめ、ジョレン、ヨイショといろいろな名称の道具が。緑川河口にあたる宇土市あたりで盛んに作られていたようだ。鋤簾系統の道具、かなり複雑だけど、どこまで既製品を使っていたのだろうか。後ろの網部分とか。素材の鉄棒までか、網状の素材を購入していたのか。








 川船用の碇。小舟だと、碇も鍛冶で作るのか。どうも、鋳物というイメージだけど。


農具

 鍬も、いろいろ。土質によって、柄の長さとか、歯の角度が違うらしいけど。






 あぜさし。これは畦切りの道具?
 類似品が佐賀で紹介されているようだが、どう使うのだろうか。

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4020000311


 蓮根鍬、山芋掘鍬、わさび鍬に竹の子掘りてこ。作物によって、専用の鍬が作られている。球磨盆地にはワサビ田があるのかな。
 ワサビ田の堆積物を流す鍬は、ある程度共通の形があるようだ。
somabitore.com

blog.kitamura-wasabi.com






林業道具

 斧。いろいろな形が。



 牛貫、伐採運搬用フック、鋏。ここいらは、丸太を取り扱う時の道具かな。



 鳶口は、丸太流しなんかの映像でよく見かける道具だな。造林鎌がごっちい。



 ノコギリ。改良五枚刃とか、改良三枚刃とかは、切るときに、おがくずの排出を良くして、切りやすくしたものらしい。




 鉈。なんでか、好きな刃物。自分で使うとしたら、たぶん、思い切りが足りないだろうなあ。




 坑木皮剥とちょうな。


その他

 竹細工の道具。竹割庖丁に割器に竹削鉄。こういうので薄く剥いでいくわけね。



 蹄鉄と蹄を削る道具類。今は、犬用爪切りのほうが需要ありそう…




肥後象嵌

 うむ、美しい。
 比較的新しい前三者と第五回内国勧業博覧会で表彰されているから、1903年に作られた細い鎖に象嵌を施したものと。最初のペンダントが好き。