蝸牛くも『ゴブリンスレイヤー 14』

 とりあえず、ゴブスレ祭、ここまで。
 表紙の角付きヘルムを被ろうとしてる神官ちゃんがかわいすぎるのだが。


 ゴブリンスレイヤー北へ。
 迷宮競技あたりから、気分が落ち込み気味のゴブスレ。受付嬢は、そんな彼が憧れる北の山の向こう、海の男たちの世界への視察任務を紹介する。魔神王との戦争のさいに王国の傘下となった北の辺境。そこに冒険者ギルドを設置するために、「冒険者」の存在を見せつける任務。


 冬山を踏破、途中からはドワーフの地下都市の廃墟を抜ける。いつも通り、ゴブリンと遭遇。地下迷宮の中を引き回した上で、吊り橋を落として一網打尽。橋を落とそうと提案したのが神官ちゃんなのが毒されまくってるなあ。
 そして、地上に出てみると、いきなり戦の風景。すわと駆けつけてみれば、「略奪」されているはずの女性がキャアキャア喜んでいる風景に呆然とする一同。嫁取りの襲撃にカルチャーショックを受ける。言葉がマジで分からん…


 なんかウキウキモードのゴブスレに困惑する神官ちゃんがかわいい。なんか、ゴブリンスレイヤーが童心に帰って、観光に出かけたりするモードだし、そりゃ困惑するわな。一方で、師の弱さというか、無限崇拝から抜け出す、一人前になる端緒と言うべきか。
 しかし、ゴブリンスレイヤーに「あれは俺よりも、遥かに腕っこきの冒険者だぞ」と言わせるとは、神官ちゃん、なかなかすごいなあ。素直で、感受性が高い性格が愛される、いろんなところで吸収していくといううところなのかねえ。初めての盤上遊戯で、勝てなくとも楽しんで、ギャラリーの心も掴んでしまう強さ。


 北方の民の船が途中で撃沈されて、帰らず、周辺の諸氏族は困窮すると同時に、王国内の取引がある諸勢力も不況に襲われる。そこに混沌の存在を読み取る、か。
 北方の民とゴブリンスレイヤーの連合軍が出撃。船が帰らない理由の探索と、難破船に乗って攻撃してくるゴブリンの討伐。武勇を謳われる北方の民。それに違わず、最弱の敵たるゴブリンを軽々と圧倒する。一方、ゴブリンスレイヤーたちも、魔法と戦士の連携による人質救出など、その力を見せる。
 しかし、戦いも佳境に入ったところで、船を喰らっていた「暴食の化身」が戦場に介入する。人間、ゴブリン問わず喰らう化け物に混乱する戦場。ゴブリンスレイヤーは、水の上に引き上げるウォータウォークの呪文をかけるため、暴れる触手の群れの真ん中に飛び込み、暴食の化身を水の上に釘付けにする。そこに、北方の民の首領が突撃、奥方による加護の祈りも相まって、神話の時代から存在する化け物に痛打を与える。そして、最後は神官ちゃんの奇跡の誤用、聖域の奇跡をかけた船を武器にして押しつぶす。ここいらあたり、いつものゴブスレ。


 しかし、よく「ガイギャックス」が慨嘆の言葉で出てくるけど、この世界、D&Dのデザイナーとファイティング・ファンタジーのデザイナーが神なのか。ガイギャックス、アーネソンは分からなかったけど、ジャクソンとリビングストンと出てくればねえ。
 というか、様々なフィクションをネタとしてガンガン放り込んでいるな。指輪物語のエピソードとか、伝承系のネタならすぐ分かるけど。
 つーか、検索してみたら、スティーブ・ジャクソンって2人いるのかよ。混乱するなあ。火吹ジャクソンとガープスジャクソンか。


 最後は、前巻に出てきた@ちゃん。ほんと、運だけで生きてるなあ。彼女も、どういう役割を果たすのか。