笹木さくま『女神の勇者を倒すゲスな方法 1-6』

 とりあえず、チョロ勇者のアリアンがかわいい。


 美味しい物を食べたいと望む娘リノの要望を受けて人間界にやってきた魔王ルダバイト。しかし、強いものと戦うことを望む魔王は、弱いくせに、何度も蘇ってくる女神教の勇者に、早々に嫌気がさしてしまう。
 嫌気がさしつつも、平和を望む娘リノによって人間の皆殺しもできない魔王は、異世界からなんとかしてくれる参謀を呼び出す。そうして呼び出されたのが、後にゲス参謀と呼ばれることとなる外山真一だった。


 まあ、アレな相手の欲望を暴走させて足元をすくうとか、腐らせるとか、「ゲスな方法」といいながらコミカルな方法というか、大天使リノちゃんという良心回路があるからか、エグくはならなくて安心して読める。
 最初は勇者パーティ、その後半竜の少女アリアン、そしてアリアンによからぬ感情を抱く司教ヒューブ、聖女サンクティーヌを倒した後、魔族に敵意を示す女神教そのものを攻撃しようとする。しかし、「女神」エレゾニア自身が攻撃をしかけてくる。最初は、失脚したヒューブに勇者にする力を与え、大量の勇者による襲撃。しかし、それは真一の「第三勢力の演出」によって講和の流れに。そこで、直接攻撃をしかけ、魔王を捕らえてしまう。
 真一たちは、最終的に大陸全体の人々にエレゾニアの正体を知らせることで、無力化させ、滅ぼす。
 小惑星の落下によって滅びた古代文明で、望まず「魔族」にされてしまった少女のなれの果て、嫌なことを徹底して自分から抹消していったあげく、自分自身をも抹消。魔族と竜に対する憎しみだけになった妄執の存在か。
 最終的には幽霊退治、と。


 とりあえず、3人のヒロインがいいなあ。半竜のチョロ勇者アリアン、毒舌むっつり黒エルフメイドのセレス、魔王の娘にして大天使、最近ちょっぴりヤンデレ風味のリノちゃん。それぞれ、主人公との関係性が異なるのがいいなあ。
 つーか、アリアンかわいい。