『日本巡洋艦史』

 ブックオフで手に入れた、1991年刊行のものを読了。
 昔はウォーターラインシリーズが500円で買えたこともあって条約型巡洋艦大好きだったけど、最近は煙突がたくさんあるのが正義、砲塔はない方がよろしいという感覚に。明治時代のスループコルベットから始まって、日露戦争で活躍した装甲巡洋艦、日清日露戦争で活躍した防護巡洋艦、大正以後の重巡洋艦軽巡洋艦、そして戦利巡洋艦という順番で紹介。歴史的に考えると装甲巡洋艦防護巡洋艦重巡洋艦軽巡洋艦はいれかえた方が良かったのではなかろうか。


 だいたい、30年ほど運用されて退役解体というパターンか。明治時代は、準主力艦の防護巡洋艦装甲巡洋艦は輸入で、偵察巡洋艦の類いを国産と言った感じか。日本海海戦で活躍した装甲巡洋艦群が事故喪失以外では大戦末期まで運用されているのに対して、防護巡洋艦日露戦争後に建造された世代も含めて、わりと惜しげもなく除籍されているのは興味深い。昭和15年に除籍された筑摩型とか、大戦中まで維持していれば護衛艦艇くらいには使えただろうに。
 あと、防護巡洋艦、戦没・事故喪失が多いな。浪速型2隻と吉野型2隻が、前者は事故と第一次世界大戦で、後者が日露戦争で全部沈んでいるのが印象的。座礁事故も多い。
 防護巡洋艦の最後、筑摩型は26ノットと少々遅いけど、舷側装甲も備えていて、普通に「軽巡洋艦」扱いでいいんじゃなかろうか。


 第二次世界大戦巡洋艦は、とりあえず今回はパス。軽巡大井は、機関不調であまり使われなかったのか。だいたいの巡洋艦は敗色濃厚の昭和19年あたりまで生き延びているけど、軍縮条約前で船型が小さかった重巡加古、古鷹、衣笠、軽巡天龍がソロモンで早期に失われているのも印象深い。小さい分防御力が欠けていたのか、だからこそ惜しげもなく最前線に突っ込んだのか。