ざっぽん『真の仲間Episode.0:今だけ最強の走竜騎士は、いずれ無双の妹勇者を守り抜く』

 「真の仲間」シリーズの前日譚。行きすぎたシスコンの兄貴が、分を超えて頑張りすぎてしまうお話といった感じもw


 「導き手」の加護を持つ、勇者の兄ギデオンが、「勇者」の加護を持つ妹ルーティを守ろうと頑張るお話。最初からレベル+30と強い力を持つが、追加能力が無く同レベルでは最弱になってしまう加護である「導き手」。最愛の妹を守るためにはどうすれば良いかを悩んだギデオンは、ルーティを守る政治的立場を確立しつつ、彼女からいったん離れる道を選ぶ。騎士団に所属し、剣術などの技術的な教育、そして、レベルを上げる強力な敵との対決経験を積み重ねる。
 結果として、「魔王軍」の襲来という来たるべき時に、ギデオンは妹を避難させるだけではなく、村の人々をまとめ上げ、山奥の古城に避難。そこから、魔王軍の先鋒を撃破し、さらに水源を攻撃されたのを奇貨に、反撃に転じ、魔王軍の大隊を撃破。地域を開放することに成功する。
 あまりに能力の高い子供たちに壁を感じていた父母とも和解に至る、か。


 一方で、ギデオン自身は、本当にルーティ以外については、基本的にどうでもいい質なんだな。むしろ、スローライフを始めてからのほうが、「大事にしたい人」の範囲が広がっているのだな。
 村人をまとめるために、不満分子を意図的に自由にさせて、煽るとか、なかなかエグい手を。暴発したときにカバーする手段は万端整えてあるとか。敵対派閥を追いだして、結局は死に至らしめる。容赦ないけど、的確な手ではあるな。結局の所、村の人々にたいして意趣返しの心があった、と。
 勇者の衝動があったとは言え、ルーティのギデオンに対する思いも、なかなかイッてるなあ。