- 作者: 小川信
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2013/10/09
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
まあ、昔の本といった感じだよなあ。確かに、誰も彼も、ころころ言うことを変えて、無責任としか言いようがないのだけど、どうしてそういう意思決定を行ったのか背景を探るのが歴史学なのではないだろうか。
細川山名両家が、派閥の雄になった経緯、そして、両家のその後の運命に比較的長く紙幅が割かれているのが良い。長い間、幕府の機構に根っこを伸ばしてきた細川家と実力で中国地方の派遣を握った山名家の性格の違い。嘉吉の変と赤松討伐で、山名家は勢力を伸ばしたと。内紛を繰り返すようになった細川家、急激に支配力を失っていった山名家と、その後も興味深い。
あるいは、実際の戦闘の展開が細かく追われているのも。実際に、両軍が激突していた時期というのは、比較的短いのだな。正規の武士身分は、比較的少ないだろうから、初期の衝突で、実は両軍とも、正規兵をかなり失っていたんじゃないかな。ただでさえ、一族や家臣の戦死は、武士団の勢力を減退させるものだったろうし、ガチで殴り合いを続けたら、戦意はあっという間に霧散しそう。
正直、中公新書のを読めば十分という気もしなくはないが、ちょっと長い時間軸で見たいなら、いいのかな。