日車メレ『追放令嬢ですが、お迎えが遅かったみたいです』
辺境の森の山荘に追放されてから十年後、王太子の恋人の座に納まった「義妹」が魅了使いであった事が判明し、名誉回復された主人公、侯爵令嬢のクリスティン。元婚約者の王太子が迎えに来るも、10年のサバイバル生活を経て、過去の仕打ちを忘れたように愛をささやいてくる彼を受け入れられない。
王家で唯一、魅了の影響を拒絶し、ほぼ確実に死んでいたサバイバル生活をできる限り助けてくれた第二王子ジェレミーだけに心を許せる。しかし、年上で、特に先もなさそうな自分ではなく、もっと似合う相手と将来を得て欲しいと距離を取ろうとする。しかし、ジェレミーの彼女への執着はめちゃくちゃ強く、最終的に押し負けてしまう。
三章構成だが、それぞれに一度、しっぽりエロシーンあり。
第二章は振られた王太子の嫁取り、第三章は魅了を使っていた義妹の脱走事件。それを経て、家族との和解と結婚式へ。
10年、魅了で棒に振って、クリスティンに振られた王太子は、王太子妃を娶らなければならない。お見合いのお茶会の監視に出向くクリスティンとジェレミー。そこで、王太子があっさり女狐に籠絡されかかっている様子を見て、頭を抱えることに。
ジェレミーが裏でしっかりしろと王太子に圧力をかける一方、クリスティンは有望とみた辺境伯令嬢を教え導く。そんななか、女狐な候補の令嬢の馬車が襲撃され、クリスティンが応援する令嬢が犯人ではないかとヒソヒソされることに。しかし、王太子は助言を受けて、密かに監視して、自作自演を暴く。多少、まともになって、しっかり者の嫁をもらって、一安心と。
そして、最期は過去の決着編。平民時代に魅了していた商家の息子が、投獄されていた元義妹ルーシャを脱獄させ、それにクリスティンの兄もついていってしまう。奇襲的に魅了に囚われるも、妹への責任感から部分的に抗って、手がかりを大量に残していった。それを追いかけて、無事に確保するクリスティンとジェレミー。兄は、抗ったことで問題にならず。そういえば、魅了女の末路は全然描かれていないな。主人公、全然関心無し。
ラストは、家族の和解から、結婚式、初夜?と続いて、結末。サクサクと読みやすい一冊。