デヴィッド・コーディングリ編『図説海賊大全』メモ。

図説 海賊大全

図説 海賊大全

海賊に関しての基礎知識を得るためには、非常にいい本だと思う。著者もきっちり教育をうけた歴史学者のようだし、文献リストも付してある。ここから、調べていくことができるだろう。
しかし、私の興味からは、少し外れている。
私自身は、むしろヨーロッパ近海での私掠船活動に興味がある。Van der WeeのThe growth of the Antwerp market and the European economyでは、15・16世紀には頻繁に戦争が起き、そのたびに私掠船の活動で貿易が途絶していた。私掠船活動の本場は北海沿岸の各地ではないかと思うが、それに関する情報が、思うように集まらない。本書では、そこのところに、期待していたのだが。
また、私掠船・海賊活動を組織するには、人員と設備を整えるためにかなりの資金が必要だ。それをどのような人的ネットワークを介して集めたのか。報復特許状を得るにも、しかるべき人脈が必要だろう。そこの部分をもっと知りたい。
本書は、カリブ海の海賊やバーバリー海賊など有名どころ主体で、マイナー好みには、ちょっと使えなかった。