リン・ハント『ポルノグラフィの発明』一部読む

ポルノグラフィの発明―猥褻と近代の起源、一五〇〇年から一八〇〇年へ

ポルノグラフィの発明―猥褻と近代の起源、一五〇〇年から一八〇〇年へ


表現規制に関連して、ポルノグラフィの最初に遡ってみようと思って読んだもの。
本書は思想史に近く、私自身の関心からは離れているので、序章と解説だけ読んで、図書館に返却。


私のポルノに関する関心は、まあ、ぶっちゃけてしまえば、エロゲやエロ漫画を読むのを邪魔するな、というのが始まりではある。
その上で、規制の大義名分である「青少年の健全育成」とやらが、どうにも納得できない。規制することが、本当に「青少年の健全育成」に資するのか、その大義名分の背後にある思想に弱点はないのか、そこのところに迫るために本書を手に取った。
その点では、本書はあまり得るところはない。
本書が対象とするのは、フランス革命以前、現在に通じる「性的刺激を得るための書物」以前の時代しか扱っていない。
本書が主張するのは、ポルノグラフィが西洋近代の思想と密接に関連しながら発展してきたこと。16世紀の起源から18世紀いっぱい、啓蒙思想などと結びつきながら、権威を批判するための手段として存在してきたということである。
その後、19世紀に入って、知識の「民主化」とともに現代的なポルノグラフィが出現したとする。
正直、ある程度、この手の問題に通じてからでないと用がない本といってよさそう。