『ましろ色シンフォニー』クリア

ましろ色シンフォニー

ましろ色シンフォニー

 3日から始めたから、全部終わるまでに3週間かかったわけか… 思ったより時間がかかった。
 ヒロインの攻略順は、愛理→みう→アンジェ→桜乃の順番。評価としては、今年やったエロゲの中では一番といったところ。総合的なバランスの良さ、欠点がほとんどない。加えて、シナリオ(特に愛理ルート)のシャープさが高評価。始まりから、すいっと物語に引き込まれる。
 愛理ルートの主人公とヒロインが互いに歩み寄って行く様を、丁寧に、ぶれずに描いているのが素晴らしい。肌の触れ合いや互いの体温が感情を高める、その感覚が非常に好ましい。このような描き方は、あまりエロゲでは見かけないように思う。むしろ、少女漫画的とでも言うか(少女漫画をそれほど読んでいるわけではないが)。
 同じく保住圭氏が担当したアンジェルートも良かった。こちらは、愛理ルートが直球勝負なら、変化球もいれた緩急の効いたシナリオ。しっとりとした恋愛描写とギャグや騒がしいシーンがうまくかみ合っていて、楽しい。近づいていって、互いの関係を形成する時期、そこから12月10日の初体験へと盛り上がり、そこからケーキの話へ。愛理の話が互いを見詰め合う展開なのに対して、アンジェルートは外へ開いていく展開とでも言ったらいいのか。アンジェのキャラクターもあって、非常に楽しかった。ヘッドドレスがはずれると子供化して、パニックに陥るというネタがおもしろかった。
 桜乃ルートは他の三ヒロインとは、少々毛色の変ったストーリー。他のヒロインのルートでは「痛み」がないのだが、このルートのみ他人からの悪意に晒される。中盤の重かったこと。このルートは「常態への回帰」とでも言ったところか。「一番近い男女」「お互いの空気清浄機」という関係が、主人公が他の女の子から告白によって破られ、最終的には恋人にして兄妹という関係に回帰する。その点でも、他のシナリオと比べて異質なのかな。個人的には、共通ルートでの桜乃が好みではある。あと、キャラデザインでは、一番。
 みう先輩ルートはねえ。なんとかまとまったとは言え、ゲーム内時間で12月後半の中弛み状態とか、前半はむしろ紗凪に食われていたとか、一番欠点が多いように思う。他のシナリオに比べて長くなっているし… 個人的には手や口でのプレイに魅力を感じないというのもあるが。むしろ紗凪の方が魅力的過ぎて。とりあえず、みう先輩の声には癒されまくりだったのだが。
 そう言えば、初体験失敗というのが、全ヒロインにあるのが珍しいと思った。
 総体的に言えば、大満足。シナリオ・ビジュアル・声すべてが高レベル。たっぷりと物語に酔わせていただいた。まさに王道の恋愛もの。


ぱれっと『ましろ色シンフォニー』に関するコメントレス(ネタバレ有)

 アンジェのヘッドドレス話なんですが、色々考えたりはするんですよね。初体験後のアンジェなら、外しても何も起きないんじゃないかなぁ。"女"としての立ち位置を確立した、とも取れるわけで……認識一つで変わる世界の話でもあったので、その辺りも変わってほしいと思います。

メイドであることがアイデンティティーの根幹にあることを認めた上で、結ばれているので、初体験後も外れたらパニックになるというのは、矛盾していないのではないかなと。ヘッドドレスを外しても大丈夫になるには、もう一イベント、初体験からケーキ作成の間に入れなければならないのではないか。そして、それだけの尺がなかったと。ヘッドドレスも服も全部脱いだ状態で、「アンジェの全部を見てください、旦那様」とか言って、エッチになだれ込むシーンがあったらなかなか興奮しそうではあるが。