朝鮮戦争―38度線・破壊と激闘の1000日 (新・歴史群像シリーズ 8)
- 出版社/メーカー: 学研プラス
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朝鮮戦争に関しては、歴史の教科書以上の知識はなかったが、ものすごい勢いで前線が南北に移動しているのが印象的。最初は北朝鮮の南進で釜山橋頭保まで戦線が南下。で、国連軍の反撃で、今度は鴨緑江に到達。さらに中国軍の介入で、37度線まで後退。さらに反撃で現在の38度線周辺に戦線が固定する。国際政治的な文脈や日本への影響について解説されているのも評価できる。一方で、朝鮮半島の社会に対する影響という観点が徹底的に無視されているような感じも受ける。確かに、アメリカと中国・ソ連の対峙という、国際情勢に強く規定された戦争だが、一方で朝鮮半島に存在する二つの政権の戦争という点も濃厚なわけで。韓国軍も、それなりに勇戦しているし、逆に米軍も攻勢にさらされる局面では、何度も苦杯をなめているわけで。というか、アメリカ軍も意外に脆かったのが印象的。基本的にアメリカ軍視点だなと。
あまり具体的な戦争のドクトリンには触れられていないが、火力戦ドクトリンを徹底的に導入したソ連軍の影響下にある北朝鮮が、どのような火力戦を行ったか。そこのところが気になった。T-34/85の活躍が強調されるが、実際のところどのように運用されたのか。逆に、米軍の戦車運用は。あるいは、北朝鮮軍の重装備が戦争の過程で、どのようになっていったのだろうか。緒戦はともかく、釜山橋頭保あたりでは、歩兵の浸透戦術が主になっているように見えるが。