翠星のガルガンティア第3話「無頼の女帝」

 前回殲滅した海賊の親分が、周辺の海賊をかき集めて報復にくるといった展開。チェインバー無双な展開は前回同様だが、今回は、ガルガンティアの人々にいさめられて、なるべく殺さない方向で。女海賊ラケージの波乗りロブスターを降伏させようと、ジャイアントスイングするのには笑った。コミカルな話になっているが、チェインバーが無双すぎるから、そういう真似ができるって感じだよな。彼我に隔絶した戦闘力の差があるからこそ、こういうほのぼのとした話にできるというか。戦闘力の差が少なければ、こういう平和な展開にはならなかっただろうな。ピニオンがレドを殺して、メカだけ手に入れろと盛んに主張していたように。あとはラケージが侍らせている女奴隷二人がエロい。
 ガルガンティアなどの船団と海賊が、むやみに人を殺さないという不文律で、対立のエスカレートを防いでいるのはまあ、納得できるところ。「お互いに大砲を見せびらかしあっているうちは、要するに交渉のうちなのさ」というのは、まったくその通り。ただ、その辺の状況を、ベローズが語ったような形で説明するのはどうなのかねえ。人殺しはダメだという論理が微妙に説得力を持っていない気がする。むやみにエスカレートさせないというのは、生存がぎりぎりの世界で際限ない軍事力の拡大を防ぐという知恵の産物で、現実の世界でも野生動物や中近世の遊牧民と定住民の間に成り立ったような関係があったわけだが。
 あとは、異文化コミュニケーションに関しても興味深い。神の視点から見ている視聴者にとっては、ガルガンティア船団の人々も海賊も、チェインバーの隔絶した戦闘能力をなかなか理解しないのが気になる所ではあるが、やはり人は自分の尺度で測ってしまうから、ああいうことになるのだろうな。南米のインディオとヨーロッパ人の接触もああいう感じだったのかもなあ。そして、そういう新規なものに最初になじむのが、エイミーやベローズといった若い女性であるというのも、順当な組立てであると感じる。
 あと、生鮮食料品になじみなさげなレドが、普通に肉や魚を喰っているのがすごいな。順応性が高いというか。「またか」は笑える。そのわりに、食べている最中に平静なのはどういうことだろうか。


 そう言えば、一話を見直していて気になったのだが、人類銀河同盟の人々には色素がないのかな。レドも銀髪赤目だし。第一話の演説のシーンで、みんな同じような髪の色だったところを見ると、人類銀河同盟は遺伝的多様性がものすごく低いようだ。遺伝子操作による配合は普通に行われていそうだな。中佐との違いを見ると、クローンではないようだが。