- 作者: 渡邊大門
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: 新書
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武士身分の「牢人」が目立つようになるのは、室町時代の後半になってから。守護家の内紛で、敗者側についた勢力が「牢人」と称せられるようになる。また、嘉吉の乱で討たれた赤松家の残党の話が興味深い。追っ手がかかって関係者が次々と討取られたこと。一方で、伝を頼って生き残った者もかなりいたこと。十数年後に、神璽奪還の功により復帰することになる。播磨・備前・美作の守護職は応仁の乱のさなかに奪還されるが、24年もたっても、山名氏の支配があっさり崩壊するってことは、山名氏の支配がそうとう在地に嫌われていたのだなあと。
2/3程度は戦国時代。戦国大名の滅亡によって、大量に牢人が輩出されることになる。特に、関が原の合戦で西軍に与した大名が改易され、浪人があふれることに。彼らは、再起をかけて大阪の陣で豊臣方に加わることになる。豊臣家は、金をばら撒いて、牢人たちを集めた。そのなかの真田幸村、長宗我部盛親、後藤又兵衛などの有名人については、かなり紙幅が割かれている。
牢人たちは治安上危険な存在として、取締りの対象になっていたこと。京都では、居住には許可が必要であったこと。ずいぶん後になって、そのような規制は緩和されるようになっていったこと。
あと、八丈島に流された宇喜多秀家のエピソードがなんとも。有名なエピソードだけど。結局、江戸時代を通じて、子孫が存続、近代にはいって本土に移住しているそうな。