阿羅本景『止まらないで自転車乙女』

 自転車を通して社会に貢献する女性を育てる、を標榜する名門女子校「白輪館女学園」。しかし、自転車が普及した現在では、そのスローガンが排除の手段として使われるようになりつつあった。「自転車」の実技が必修で、パスできなければ留年。中学一年生になるまで、自転車運転を習得する機会がなかった3人の少女たちは、そのまま退学の危機にさらされることに。
 彼女たちの自転車のコーチを頼まれたのが、元はロードレースに出ていながら、とある事情で自転車をやめていた、高校生の秋山陸。しかし、自転車に乗りなれていても、教え方が皆目わからない陸は、少女たちの反発もあって、うまく行かず。


 後半は、サクサクと、合宿練習、そして秋川渓谷から吉祥寺までを自転車で移動する再試験。徐々に、自転車に乗れない3人娘の信頼を得て、乗れるようになって行く。で、試練の45キロ走行。このあたり、中学生三人組の友情と努力も含めて、なかなか熱くて、テンポよく展開する。


 ただ、正直、前半のやることなすことうまく行かない状況が長すぎたと思う。100ページ目くらいで力尽きそうになった。陸が自転車をやめていた理由についても、最初から匂わされているけど、もう少し早い段階から、言及していても良かったんじゃなかろうか。
 しかし、45キロか。初めて乗る人にとってはきついかもな。まあ、私、大学生のころは、シティサイクルで、普通に桂川沿いを、渡月橋から宇治川合流点あたりまで、普通に往復していたから、馴れれば難しくない距離。そのあたりの微妙な距離が、バランスなのかね。
 あと、とりあえず、エロハプニングが多いっすね。