渡辺洋二『双発戦闘機「屠龍」:一撃必殺の重爆キラー』

屠龍の開発から終戦までを描く。
なんというか、意外なほど評判が悪い。火力や速度の限界と運用側の無理解が重なったのだろう。
世界の傑作機でも、アメリカの戦後のテストの評価で、平凡な性能で他に使える機種が無かったから使われたなんて書かれているし。
あと、日本軍の航空機開発のダメさ加減も印象に残る。生産量に限りがあるなかで、どうしても、一機種にあれもこれもと要求を詰め込まざるを得なかった側面もあるのだろうけど。早くから、性能向上を行なっていれば、あるいはもう少し有効な対B-29戦闘が可能だったかもしれない。まあ、無制限潜水艦戦で絞め殺された全体状況の中で、寄与はわずかだっただろうが。