福岡市教育委員会『福岡市埋蔵文化財調査報告書第814集:箱崎20:箱崎遺跡群第38次調査』2004

 埋蔵文化財の緊急発掘調査の報告書。調査期間の問題か、かなり不徹底な発掘調査に見える。中世遺構の発掘がかなり断念されている。あと、熊本でも、そういう感じがあるが、近世の都市遺跡の検出やもっと最近の近代遺構の調査もちゃんとやっておくべきではなかろうか。
 古代末から中世にかけて、博多だけではなく、砂丘上に都市的集落が複数、形成されていたと。出土陶磁器の編年から、13世紀後半から14世紀初頭の年代が推定されているが、ということは蒙古襲来で焼けたということだろうか。
 鉄滓が少量とはいえ出土していることは、鍛冶か製鉄が行なわれていたということなのだろうか。ガラス器の出土も興味深い。