『世界の艦船』2017/3号

世界の艦船 2017年 03 月号 [雑誌]

世界の艦船 2017年 03 月号 [雑誌]

 特集は「海上自衛隊VS中国海軍」ということで、中国海軍の特集。しかし、こうして見ると、戦闘艦の数では、完全に凌駕されてしまっているのだな。旅洋3型DDG、江凱2型FF、江島型コルベットあたりが、2010年代になって、じゃんじゃん就役しつつある。一方で、潜水艦に関しては、思うように進んでいないようだ。
 香田洋二氏の「日中海軍戦力を比較する」が興味深い。2030年代にピークを持ってくるであろう中国海軍の戦力見積もりと、どう対応するか。こういう風に発想し、分析するのね。最終的には海自の倍の水上戦闘艦が整備されるのか。恐ろしい。一方で、原潜・通常型双方で、所要を満たせるだけの潜水艦は整備できない可能性が高い。また、航空対潜兵力も不足する。地理的に複数に分割された戦力になってしまうところが弱点と。
 しかし、全面衝突になれば、日本列島からグアムにかけての、基地航空隊は弾道ミサイルで無力化される可能性が高いのではなかろうか。洋上戦力だけ見た、議論のように思える。対艦弾道ミサイルが空母機動部隊を撃破できるとは、今のところ考えないが、それでも固定施設たる航空基地は充分破壊できるし、揚陸艦を撃破することは可能で、重大な脅威ではある。基地航空隊が無力化される危険を考えれば、日本も空母の保有の必要性が高くなるが、その財源がなあ。
 陸自部隊の琉球列島への展開も言及されているが、政治的な支持を調達できるのかな。
 中国が、日米との戦争を含む手段に出るとするなら、尖閣諸島のような小さな目標ではなく、台湾有事になるのではなかろうか。台湾の実力を含めて、議論する必要があると思う。

 中国海軍は機雷が安価かつ効果的な兵器であることを深く認識し、機雷の生産・備蓄に力を入れており、各種ヴィークルの敷設能力を重視、明型SSは32基の機雷を搭載可能とされている。p.99

 そうすると、掃海部隊の削減は、かなりまずいのではなかろうか。


 連載は、潜水艦の電波探知装置の話。最初は、潜水艦を攻撃するためのレーダー波を感知するための装置だったが、情報収集やパッシブ・レーダーなどへと機能が拡大していると。やはり、アメリカ潜水艦の装置が一番高性能。英米は情報収集能力重視。一方で、他の国は探知能力メインというところか。つーか、フランス、結構中国に軍事技術を売ってるなあ。
 アクティブなレーダーは、隠密性の維持の観点から、普通は使用されない。これは、アクティブ・ソナーと同じと。


 写真ページは、オーストラリアの演習が印象に残る。ペリー級ライセンス艦のほうが、MEKO級のアンザックより古いのか。そして、イージス艦の導入とともに、退役と。