神坂一『スレイヤーズすぺしゃる18:跡継騒動 森林レンジャー』

 11冊目。
 ゼルガディスメインの「ゼルガディス朧月草紙」が収録。ほかには、「跡継騒動 森林レンジャー(前後)」、「送り狼たちの午後(前後)」、書き下ろしで「森林レンジャー」の続きの「山林の覇者たち」から成る。


 「跡継騒動 森林レンジャー」は、まあ、基本構図はタイトルの通り。世襲のレンジャー職を、姉と弟のどちらが継ぐかの争い。しかし、その片一方が、弟に毒を盛るは、手癖は悪いは、ナチュラルに嘘をつくは、倫理観の欠片もない。それに、リナが加わるとどうなるか。弟は弟で、常識人でそれなりの能力はあるけど、本番に弱くて矢は明後日の方向に飛んでいくわ、すぐ騙されるわ…
 結局、話はご破算になるわけだけど、この一家、抹殺しといたほうがいいんじゃレベル。
 書き下ろし「山林の覇者たち」は、クビになった件のクレッシェンド一家が、山を荒らし始めたので、その捕縛を依頼される。その目的は、オリハルコン鉱山で、それを巡っての争いに。結局、ナーガが何もかもぶち壊すのね…


 「送り狼たちの午後」は、反乱を起こしてロードの娘をさらった大臣から、娘の奪還を依頼されるお話。しかし、案内に付けられた騎士ラインツとユーリィ、どちらも妄想暴走野郎で。ヤバイ妄想垂れ流しのユーリィ、勝手に悲観的な妄想で姫を殺そうとするラインツ、そして、完全にアホな大臣。ここの領地大丈夫かって状況だなあ…
 ひたすら、暴走しまくるお話。


 そして、「ゼルガディス朧月草紙」は、体を元に戻す方法を求めてさまようゼルガディスが、たまたま出合った事件のお話。ゼルガディスと同じく、人体実験によって異形に変えられた男。ゼルガディスと合わせ鏡のような相手。しかし、ゼルには、「仲間」がいた、と。