木村茂光編『雑穀Ⅱ:粉食文化論の可能性』読了

雑穀〈2〉粉食文化論の可能性 (“もの”からみる日本史)

雑穀〈2〉粉食文化論の可能性 (“もの”からみる日本史)


古代から近世に至る、日本の粉食の流れ、中国・韓国の粉食、近代の穀物消費の変化、即席めんの歴史と、バラエティに富んだ論文が収録されいて、面白かった。
古代の索餅から中世の素麺にいたるまで、商品ないし貢納物として、麺類が流通性の高い存在であったことが興味深い。


この中で少し違和感があるのが、近代の穀物消費の変化を扱った、第7章の大豆生田論文。
コメ消費の拡大が、生活水準の向上と考える見方は、他の著者と少し問題意識がずれているような感じがする。
また、全国規模の農業統計を史料として利用したため、どうものっぺりした感じというか、物足りなさを感じるというか。特に変化の説明については、根拠が不明確なのでは。
他の論文で、きっちり論じているのかもしれないが…