宮家準『宗教民俗学入門』

宗教民俗学入門

宗教民俗学入門

正直言うと、期待はずれ。宗教現象に関連する民俗を羅列しても、「見えない宗教」には肉薄できないのではないか。
前書きなどに、

もっとも民間信仰は特に宗教と意識されずに、いわば生活習慣として行なわれている。けれどもそれをしないと、なんとなくうしろめたく、落ちつかないという形で、人々の生活の中に浸透している。「見えない宗教」とでもいえるものなのである。
(まえがきp.障ミ)

この部分に期待していたのだが。
以下、続いて読むべきもの。
R・N・ペラ『徳川時代の宗教』岩波文庫 1996(割と最近の本なのにもう品切れか?)
T・ルックマン『見えない宗教』ヨルダン社 1976
あと、山本七平がこの関連で何らかの言及をしているらしい。


章別では、第7章の「女人禁制」が山上が岳の女人禁制という具体例を素材に、その背後にある論理を追っていて面白かった。あと、第8章「たましいの成長と癒し」の第4節「民俗宗教としての四国遍路」も。
同じく第8章第3節の「蘇りの場としての病院」は現在の医療崩壊問題とからめて、興味深いテーマになりうると思うが、たいして議論を深めていなくて残念。