朝霧あさき『ベル・プペーのスパダリ婚約:「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い! 1』

 最初のインパクトが強すぎるw
 小柄で無口で感情の見えないけど、整ったが意見からベル・プペー、美しい人形と称されるレティシア。しかし、実は包容力がデカい、スパダリ気質。あげくにやたらと戦闘力の高い存在だった。喋るとボロが出るから、黙っててくれと母親に泣いて頼まれてできあがったのかベル・プペー。
 しかし、新たに紹介された婚約者が入り浸る娼館に引っ付いていって、お店の女の子にチヤホヤされてご満悦なのが。そして、暴漢の乱入で、かぶっていた猫を外した後の無双ぶりとか。


 2章からは、アクション色強め。
 国際的に禁輸されている国に魔石を輸出しようとしている輩の摘発に関わるジルベール。その裏には、レティシアに懸想して、あげくオルレシアン家の攻撃にも関わっている伯爵令息を叩き潰したいという意図があって、こっそりと活動する。しかし、レティシアに看破されて、隠れ蓑になっている仮面舞踏会に二人で乗り込むことになって。
 レティシアが、オルレシアン家の家宝、反転の腕輪で男性に化けてSSランク傭兵騎士「竜帝」として活動している。そちらに化けて、ジルベールが女装して潜入という性反転な展開が楽しい。密輸商の護衛の元SSランク傭兵騎士を一瞬で圧倒するシーンが、見開きを使った挿絵も含めて印象深い。


 で、兄王子クリストフの死亡で狂った皇妃との対決が、今後の物語を引っ張る基調になっていくのかな。とにかくジルベールを皇帝にしたくないというか、クリストフの死の原因が赤目の呪いかも分からなくなっている、と。
 一方で、王妃が連れてきた替え玉。クリストフの異父兄?とは和解。「赤目の皇族の呪い」が消えるかもというジルベールの希望か。密かに血統を入替えるのが、「滅亡」かも知れない、と。


 赤い目の皇族は、感情発露が下手っぴで、歴代、いろいろとこじらせて混乱を起こしてきた。その「呪い」が意識にあるジルベールは、ものすごくレティシアに依存する。それを軽く笑って受け入れるレティシアさんのスパダリぶりが印象深い。
 しかし、自分を遺して死んでしまうのが怖いと言われたからって、じゃあ自分が死んだらジルベールを殺すようにするレティシアさん、なんかヤバいなあ。そして、それを聞いて大喜びのジルベールさんの愛が重いというか。
 人形姫と言われるレティシアが、反転の腕輪で傭兵騎士「竜帝」に変身するというの、あっち方面で妄想できそうなフックなのかね。