マーチン・ファン・クレフェルト『補給戦:なにが勝敗を決定するのか』

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)

なるほど噂に違わぬ名著。しかし、注と参考文献が略されているので、価値半減。この手の本は、遡って調べられてなんぼ。猛省を促したい。
第一次世界大戦までの軍隊が主に現地調達に頼って生きていたこと。かなり後代まで、それ以外の補給品の追送はほとんど必要なかったというのは興味深い。このような研究成果と「国民国家の形成と軍事」という視点をどうつなげるか。
また、鉄道が、兵士の動員についてはともかく、こと戦場への補給についてはほとんど機能していなかったという指摘。第二次世界大戦のドイツの補給の不全、計画立てすぎで思うに任せなかったノルマンディーの連合国軍など、目からうろこ。著者がどのような情報源からこのような結論に至ったかについての情報が欠けていることを除けば、素晴らしいの一言。