山川均『石造物が語る中世職能集団』

石造物が語る中世職能集団 (日本史リブレット)

石造物が語る中世職能集団 (日本史リブレット)

 宝篋印塔の出現とその展開から、石工集団の活動の歴史をあぶりだす話。
 東大寺の再建に関わった伊行末から派生した、伊派石工と大蔵派石工の様相を、石造物の注文主である有力な僧侶との関係で明らかにする。しかし、叡尊ら造営を盛んに行なった僧侶たちの人名とそれぞれの関係、各地に散在する石造物とその銘文、さらに数代にわたる伊行末の末裔の石工たち。固有名詞が錯綜して、ちょっと頭に入っていない。今度、この本を買って、図でも作るしかないか。
 宝篋印塔や各種の石塔と宋代中国の関係の深さ。少なくとも手紙をやり取りしたり、石材を輸入するほどの関係があったのが興味深い。