「熊本城人気… 宿泊とは別?:『滞在型』へ戦略必要」『熊日新聞』09/5/3

 九州運輸局がまとめた二〇〇八年の九州宿泊旅行統計は、入り込み外国人客のけん引役だった韓国人が急減するなど、景気や為替といった外的要因を受けやすい観光産業の課題を浮き彫りにした。熊本県内では、本丸御殿効果で熊本城が人気を集めたものの、宿泊増に結び付いておらず、滞在してもらうための戦略も求められる。


 県内の宿泊者が減った最大の要因は、外国人客が前年を10.6%下回ったこと。特に下期(六―十二月)は前期比37%の大幅減で、九州七県で最大の落ち込みとなった。
 県内宿泊者の居住地域は九州内が50%を占め、海外17%、関東13%、近畿6%、中国地方5%など。県が新幹線全線開通へ向け関西戦略を重視するが、図らずも近畿、中国地方からの誘客の弱さが浮かび上がった。
(中略)
 熊本県も四月に観光経済交流局を設けた。ただ「観光産業は前年実績が全く当てにならなず、不況の逆風下で宿泊客を伸ばすのは容易ではない」(福岡市の大手旅行代理店)との指摘もある。
 熊本県は大分、長崎両県との横軸連携、アジア各国への教育旅行売り込みなどのテコ入れを計画。観光交流国際化は「買い物や食など熊本市に滞在してもらう仕掛けづくりと同時に、JRと組んでの全国的なキャンペーンやSL人吉などで露出を高めたい」としている。
(毛利聖一)


観光客誘致の課題:九州観光推進機構北島部長に聞く:「本物志向」さらに磨きを
 九州観光推進機構の北島隆文・国内誘致推進部長(元日本旅行九州営業本部副本部長)は、九州の観光戦略のキーワードに「本物志向」「地域性」「選択と集中」を挙げる。観光客誘致に必要な取り組みを聞いた。


 北海道からアジアまで周囲に強力なライバルが存在する中、もう一度来たくなる素材(動機)、受け皿づくりがカギを握る。熊本城は昔ながらの工法や材料にこだわった本物志向が受け、口コミで良さが広がった。今後は方言や郷土料理など地域が守ってきた本物のカルチャー(文化や歴史)を活かす発想がもっとあっていい。
 長崎県さるく博肥薩線の観光列車などは地域に根付いたもてなしが非日常の体験として旅の魅力を醸し出している。鹿児島県の篤姫ブームも地元の周到な戦略があってこそ。地域の観光素材を外にどう売り込むか。選択と集中、絞り込みの視点が不可欠だ。
 五年前の九州新幹線の部分開業(鹿児島中央新八代)時、広島から九州への旅行客は二倍となり、名古屋からは50%も増えた。二年後の九州新幹線全線開業は間違いなく熊本に追い風になる。
 だが効果を取り込むには情報発信力が欠かせない。観光の究極は「人」。温泉など観光地のハード整備に大差はない。リピーターにつながるかは、おもてなしで決まる。

 そもそも、熊本に来る観光客がどの程度鉄道を利用しているのかというところで疑問が。韓国人なんかは観光バスによるパック旅行が多いみたいだし。他は、どのような交通手段で来ているのか。車や飛行機のシェアはどのくらいあるのだろうか。そこが分からないと、九州新幹線で観光にテコ入れといっても、見当外れのところにリソースをつぎ込むことになりそう。中国地方や関西からの観光客は、新幹線を使う可能性が結構高いかもしれないが。
 「情報発信力」というのは重要だな。情報発信ですぐに思いつくのが、映画やアニメなどの舞台になること。しかし、、一過性ではなくそれなりに長く作用するというのは、なかなか難しい。その土地の持つ力と物語が持つ力が合わさらなくてはならない。そう考えると、「らきすた」と鷲宮神社なんかは特殊例だろうしな。地味に、自治体サイトを充実させるとかも必要そう。


宿泊旅行統計調査 =九州版=
九州観光データ集 2009
これを見ると、確かに「観光産業は前年実績が全く当てにならな」いというのが良く分る。外国人の宿泊数が軒並み、前年比40%減とか。日本人の宿泊者数も5-10%減っている。一方で福岡だけ一人勝ちなのが…