川上紳一『全地球凍結』

全地球凍結 (集英社新書)

全地球凍結 (集英社新書)

 スノーボールアース仮説についての本。同仮説に与する研究者が書いたもの。なんか、定説みたいになっているように思っていたが、2003年ごろ書かれた本書ではまだまだ発展途上の仮説だったようだ。提唱された当時は、非常にインパクトがあっただろうな。現在の状況はもっと新しい本にあたる必要あり。
 世界各地の氷河堆積物が低緯度で堆積したらしいという研究、その上のキャップカーボネートの存在を説明したもの。大陸の移動とも関係があるらしい。が、ここで説明できるほどは分かっていない。岩石学方面の話は難しい。顕生代にはいってからの方が楽だ。


 もっと新しい時代(第四紀)の古気候学なんかでもそうだが、この手の地質情報の解釈ってのは、なんか微妙に信用できないような気がする。

 こうしたなかで、炭酸塩岩の炭素同位体比とストロンチウム同位体比を用いて、遠く海を隔てた大陸間の氷河堆積物の対比が試みられているわけです。炭素同位体比については詳しくお話ししましたが、炭酸塩岩のストロンチウム同位体比の年代曲線も海水のストロンチウム同位体比の変遷を反映したもので、その変動パターンから地層の年代を推定する材料に使われているわけです。p.86

とあるが、どうも仮説に仮説を重ねたような感じで。それでも第四紀あたりは、似たような曲線がならぶから、近似的な傾向はつかめるが、この時代になると情報量が少なくて。