ねずてつや『狛犬学事始』

狛犬学事始

狛犬学事始

 とりあえず、文体がウザい。病気で沸点が下がっているときには、こういうところが気になってしょうがない。もっと整理すれば、半分くらいの分量になったのではなかろうか。
 細かくデータをとって、傾向を出しているのは興味深いが、自分でやりたいかというとうーんという感じ。
 あと、本書の最初の方で紹介されている木造狛犬や石造の様々な神使の動物像などを見ると、熊本の狛犬は比較的年代も新しく、外部から導入された文化なのかねと感じた。実際のところ、どうかは、これから調べる話だが。

 この中で目を引くのは昭和10年代から昭和37年までの321か月の空白である。軍国主義体制完成への時代と、敗戦後高度経済成長のスタートまでの間がないのである。確かに、昭和20年から35年頃までは狛犬を奉献する余裕などなかったかもしれない。しかし、昭和10年から20年までの国家神道華やかなりし時など奉献されていて当然ではないか。p.76

 南山城全体では、戦中期の奉献も見られるようだが。確かに敗戦後からしばらくは、熊本でもあまり見られないような気がするな。昭和10年代はぽつぽつとあるけど。
 つーか、実は「熊本狛犬」で江戸時代にまでさかのぼるものを見たことがなかったり…