大分県教育庁埋蔵文化財センター『大分県の幕末・近代戦跡概要報告書』2009

 幕末の海防台場、西南戦争の戦跡、その後の軍事施設など、幕末から近代の戦跡・軍事遺跡の概要を調査した報告書。
 幕末、海防の必要性の高まりとともに、全国各地に台場が築造されたと。大分県では、国東半島と佐賀関半島南岸から佐伯市にかけて築造されている。熊本藩も、佐賀関半島の南岸側に二ヵ所台場を築いているのか。有明海沿岸には一つも築造していないのにな。つーか、築造された場所と空白地域の差はなんであろうか。
 本書のかなりの部分が西南戦争の戦跡について。熊本での戦いに敗れて以降、薩軍は、九州の山地を転戦。大分県域にも、進出した。しかし、政府軍に圧迫され、徐々に南に追いつめられていくことになる。山地の稜線に防衛ラインを敷いての戦闘が繰り返され、各地の尾根に、台場跡が残るという。
 あとは、歩兵第72連隊の駐屯地とか、宇佐の反射炉とか。


 これ、熊本県立図書館に入ってないんだけど、一応熊本藩が作った台場の話とかもあるし、所蔵しといたほうがいいんじゃなかろうか。西南戦争に関しては、熊本以外の戦闘に関しても、資料を集めておかないと、部分的な資料では、全体像が見えにくいと思うのだが。