
- 作者:片瀬 茶柴
- 発売日: 2018/10/17
- メディア: コミック
基本、妖を使って集めた情報を、いかに自分で推理したっぽく語るかがキモという感じだなあ。あるいは、読者の目先を引っ張り回すというか。
前半は、ミステリ研のエピソード。部員不足に悩むミステリ研の部長、天知学は、注目を受けつつ孤立している琴子を部員に迎えることで、部の存続を図ろうと画策する。しかし、主導権を握られることを嫌った琴子は、情報を集めて、逆襲。隠れて付き合ってる状況を、おおっぴらに付き合えるようにしたいという裏の目論見を暴いて、主導権を握り返す。「見てきたように嘘を言い」というのが、基本流儀だよなあ。
とりあえず、小林さんが純朴かわいい。凄く人のよい子というか。あと、スカートが短いのもいいですね。
しかし、妖怪が跋扈する作品で、登場人物に「でも最近は幽霊もオカルトもありっていうミステリも多いんでしょう?」「それは邪道だ。俺はミステリと認めない」なんて言わせちゃうのかw
後半、「ギロチン三四郎」は、とある女性の過去の罪状を暴き立てていくお話。7巻の「ヌシの大蛇は聞いていた」と似たような構造だな。殺人を犯して、その遺体をギロチンにかけた金持ち宮井川甲太郎。しかし、ギロチンはすでに十年前に一度使われていて、ギロチンの付喪神三四郎は、不思議に思う。全体は、森野小夜子と宮井川甲太郎が、かつて犯した殺人とその隠蔽を暴いていく。
しかし、琴子と九郎が、小夜子に接触を図ったのは、それを暴くことが本題ではなく、彼女が描いていたシリーズ、処刑具と招き猫を組み合わせた「招き猫」シリーズにギロチンがないのを残念に思っていた三四郎と甲太郎に、ギロチンをモチーフとした絵を描くように頼むためだった。オチがいいなあ。
基本的に、妖に好意を持たれている人に対しては、それほど苛烈じゃないよなあ。ついでに、その事件の経緯も情状酌量の余地がある。昔風の探偵だなあ、琴子さん。