片瀬茶柴『虚構推理 10』

虚構推理(10) (講談社コミックス月刊マガジン)

虚構推理(10) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者:片瀬 茶柴
  • 発売日: 2019/04/17
  • メディア: コミック
 桜川六花の日常と、後半の二編は、次巻で描かれる「スリーピングマーダー」編の前振り。


 最初の23話は、琴子の妖怪情報網から身をかわし続ける六花がどういう生活をしているかの話。競馬で、万馬券が当たるように未来を確定しつづけて、生活費を稼いでるのか。しかし、稼ぐためにいちいち死なないといけないという能力の燃費の悪さがなんとも。
 実際に、事故物件で自殺事件をアヤカシが起こしていたとしても、六花や九郎に手を出そうとは考えないよなあ。事故の原因は、祓われてしまっているわけだ。
 琴子は、即興で、管理人を安心させるもっともらしい説明を作ればいい、と。


 24話からはスリーピングマーダー編。前振りということで、娘婿が、元ミステリ研部長で甥の天知学に接触する話。高校時代の琴子を回想するエピソード。しかし、調査会社が聞き込みに回っただけで即バレ、どこも調査を引き受けないって凄すぎるな。
 半端な工作が逆効果って、不可触すぎる。


 25話から、スリーピングマーダー編に本格的に参入。ホテルグループの経営者から、琴子が遺産相続についての相談を持ちかけられる。その経営者、音無剛一は、創業者の娘の婿として選ばれた男だったが、暴走する創業者の娘、妻を、妖狐と取引して殺した。それによって、無理な拡大路線を歩み、子供たちの進路もねじ曲げていたグループと家族は破綻を免れた。
 しかし、独裁者の死によって、すべてが好転したという「成功体験」を忌んだ剛一は、琴子に、剛一が殺人の犯人であると子供たちに納得させるように依頼する。
 しかし、それは、剛一自身も「理外の理」に期待するという成功体験に縛られている、と。
 琴子は、この厄介な相談事に、どう対応するのか、以下次巻。