三日月さんかく『前世魔術師団長だった私、「貴女を愛することはない」と言った夫が、かつての部下』

 とりあえず、オーレリアさんの天真爛漫ぶりがいいなあ。バーベナの時点でのんびりした気質のようだが、チルトン領で好き勝手に暮らしたせいか、それに磨きがかかっているようなw
 どんな魔法も爆破魔法に変換される爆弾魔令嬢というのが、ホント素晴らしい。平時の魔術師団ではともかく、戦場ではすごく活躍しそうな特性。


 リドギア王国の魔術師団長だったバーベナは、戦場で囲まれ、致命傷を受けた時点で自爆して果てた。かつての仲間たちと暮らせると、意気揚々とヴァルハラに赴くが、自爆では入場資格はないと追い返され、転生することになる。
 英雄となっていたバーベナの名前をセカンドネームにもらって、オーレリア・バーベナ・チルトンとなって、田舎でいろいろと爆破魔法で吹っ飛ばしまくっていた。そのオーレリアに縁談が持ち込まれる。その相手が、バーベナの弟子にして部下、戦争の勝利の立役者になっている魔術伯爵ギル・ロストロイ。
 バーベナに操を立てるギルは、オーレリアとの接触を徹底的に避けるが、オーレリアがバーベナの生まれ変わりと知って、態度を一変させる。今までのけんもほろろな態度を悔いるが、オーレリアから当面、「白い結婚」を言い渡されるはめに。初恋をこじらせまくった32歳児の迷走が、これから話の基調になっていく。つーか、相思相愛なのに、かなり先まで進んでるウェブ連載のほうでも、やるところまで行ってないんだよな…


 その後は、王都でのすったもんだに、ラジヴィウ遺跡調査デートに、チルトン領の朔月花祭りのエピソードに。ウェブ原作の2章までが収録されている。
 ギルの魔法とオーレリアの爆破でラジヴィウ遺跡の難所をガシガシ突破して、竜王の宝物殿へ到達。爆破魔術しかできないけど、分析能力は圧倒的というオーレリアの偏りっぷりがいいなあ。
 竜の宝物殿で、クリュスタルムに遭遇。竜を倒すための死の呪いに接触して冥府に送られてしまったオーレリアを助けるために、ギルは冥府下りを決行。神話にあるごとく冥府での姿を見てしまって、失敗と言うこともなくよみがえりに成功。代償として、クリュスタルムをトルスマン皇国に送り返すことに。今後、しばらく乙女大好き宝玉に夫婦の時間を邪魔されまくることになる。
 続いては、オーレリアの実家訪問。オーレリアがのほほんと暮らして、人気者になっていた姿を描く。ウェブ版のオーレリアがチルトン領でいろいろ爆破しまくるエピソードが大好きなんだけど、それがこちらに再構成されていてうれしい。確かに、単行本というパッケージでは、ヒーローとヒロインは、早い段階で出会っていた方がバランスはいいよなあ。石像捏造とか、爆破治水とか、海賊狩りとか。
 ラストの結局、ギルがお姫さま抱っこされているシーンがなんとも象徴的でw


 次は「クリュスタルムの返還」で一冊かな。